タンポポ
タンポポは、ごくありふれた、いちばんよく見かける草のひとつですよね。
なにしろ、草原、荒野、痩せた牧場、土手を支配するだけでは満足できずに、街の広場の舗石のあいだにさえ割りこんでいくのですから。
葉がぎざぎざに裂けているように見えるので、ダン・ド・リオン dent de lion ("ライオンの歯"という意味で、英語の dandelion はこれがくずれたもの)などという異名もとりました。
また"金の管状花"という異名もありますが、それはなかが空洞になっているしなやかな花柄の先にとまるようにしてついている鮮烈な黄色の頭状花によるもの。
タンポポの花は実は小花の集まりであり、ひとつひとつの花が小さな乾果(種子)をつけます。
パラシュート形の冠毛がついた種子の群れが、花軸の先に球形につく姿は美しく、そのせいでタンポポは"ろうそく"とも呼ばれます。
19世紀のなかごろ、ピエール・ラルースが微風に散るタンポポの種子の群れを、自分のつくった出版社のシンボルマークとし、その図柄はフラソス語の歴史を語る本を飾り、人々に親しまれました。
種子がすべて飛び去ったあとに残るのは、裸になったふくらんだ花床で、この時期のタンポポは"修道士の頭"と呼ばれます。
